CASE 04

免疫疾患×診断技術

「不治の病」を、
「治る病気」へ——。
自己免疫疾患の完治に道を拓く早期診断技術開発。

シスメックス、京都大学、神戸医療産業都市推進機構

STORY 01

「不治の病」から、多くの人を救いたい

細菌やウイルスから体を守るはずの免疫細胞が過剰反応し、正常な細胞を攻撃することで起きる自己免疫疾患(*)。完治が難しい不治の病でしたが、ここ十数年、抗体薬が劇的な進歩を遂げ、病気の進行をくい止められるようになってきました。完治できるかどうかは、早期発見がカギ。でも、まだ有効な手段は見つかっていません。

シスメックスが、京都大学や神戸医療産業都市推進機構(FBRI)と共同開発するのは、自己免疫疾患を早期に発見できる新規解析手法の確立と診断システムの開発。

「きっかけは、FBRIからの提案でした。当社は、グループ企業理念『Sysmex Way』のミッションにおいて『ヘルスケアの進化をデザインする。』を掲げています。自己免疫疾患の治療技術が飛躍的な進歩を遂げた中、次の課題である診断技術の新たなブレークスルーに挑戦することは、当社の社会的使命でもあると考えています。」(宇賀氏)

*自己免疫疾患:関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病がよく知られています。

STORY 02

知的な刺激と成長のチャンスに満ちた環境

共同開発は、2018年にスタート。京都大学とFBRIは自己免疫疾患の早期発見につながるバイオマーカーを探索し、シスメックスが遺伝子や細胞、タンパクの測定プラットフォームと測定結果を多面的にとらえるノウハウを駆使して細胞性免疫や体液性免疫の状態を解析します。研究期間は、2021年3月までの3年間です。

「共同開発にあたる京都大学やFBRIの先生方とは、定例のミーティングで実験の進捗状況を共有し、今後の方向性を議論しながら研究を進めています。特にFBRIのラボがある先端医療センターは、線路をはさんだ向かいにあって渡り廊下で連結されているので、いつでも議論ができます。」(宇賀氏)

神戸医療産業都市には、製薬や医療機器など350社を数える企業が進出し、交流も盛んです。ある会社のセミナーに他社の社員が参加したり、事前に申込んで社内見学したり、日常的に交流が行なわれています。またFBRIが自由な意見交換の場をつくるために第一線の研究者を招く『マンスリーレクチャー』などのセミナーも、たびたび開催されています。

「仕事の合間を縫って、何度か聴講に行きました。自分の研究とは直接関係がなくても、行き詰まりを打開するヒントが得られたりするものです。」(宇賀氏)

仕事場を離れ、一歩外に出れば、徒歩5分圏内という至近距離に多種多様な企業や公的研究機関、医療機関までが揃う神戸医療産業都市。新たなイノベーションを生み出すのに、この上ない環境が整っています。

STORY 03

シナジーから生まれるイノベーション

ミーティングには、共同開発のプログラムディレクターを務める本庶佑先生が参加することもあります。本庶先生は、京都大学特別教授でFBRI理事長。2018年のノーベル賞受賞は、記憶に新しいところです。

「本庶先生は、研究と議論が大好きで、スケジュールがいっぱいでも、議論する時間を必ずつくってくれます。ノーベル賞を受賞した世界的な科学者と仕事ができる機会に恵まれたことは、研究者のひとりとして、この上ない幸運を感じます。」(宇賀氏)

共同開発は、スタートして1年。緊密な相互連携、自由闊達な議論の場、ノーベル賞受賞者をはじめとする多くの人との出会いなど、知的な刺激を与え続ける環境が、研究をさらにスピードアップさせています。

「技術が成熟したいまの時代、革新的なブレークスルーは、共創によるシナジーの中から生まれます。神戸医療産業都市には、業種・業態は違っても、既成品の改良や焼き直しではなく、世の中にない新たな価値をいちからつくろうという想いをもった人がいたるところにいて、シナジーが生まれやすい環境があります。そこから絶えず刺激をもらいながら、残された2年間で実用化につながる道筋を見出していきたいと思っています。」(宇賀氏)

連携図

連携図

PROJECT LEADERプロジェクトリーダー

シスメックス株式会社
シスメックス・IBRIラボ 主任研究員

宇賀 均

京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)。ポスドクから大学発ベンチャー企業の立ち上げに参加。2008年、シスメックス入社。中央研究所でバイオマーカーの研究開発に従事。2018年から、神戸医療産業都市の拠点「シスメックス・IBRIラボ」で主任研究員として「創薬イノベーションプログラム」の共同開発に従事。