特集

未来を担う若手研究者

着実に成長できる環境で
研究者としての大夢を描く。

一般社団法人 日本血液製剤機構Japan Blood Products Organization

Interview 2023年2月

「小さな一歩」を積み重ね、医療の未来を拓く

ーー日本血液製剤機構の事業内容について教えてください。

一般社団法人 日本血液製剤機構(以下・日本血液製剤機構):日本血液製剤機構は、日本赤十字社の血漿分画事業部門と田辺三菱製薬グループの株式会社ベネシスが統合し、2012年に誕生した製薬会社です。献血者からの善意の献血を原料に、大学病院などで使用される「血漿分画製剤」を製造・販売しています。血漿分画製剤とは、血漿中に含まれるさまざまなタンパク質から治療に有用な成分を抽出・精製した医薬品で、大量出血を伴う大けがや感染症などの治療に用いられています。

ーーどのような業務に携わっておられますか。

日本血液製剤機構:2019年に研究職として入社して以降、中央研究所に勤務しています。入社当初は蛋白化学研究室に配属され、遺伝子組換え技術により血漿タンパク質を産生するプロジェクトや、血漿タンパク質の精製法に関する研究に携わりました。その後、感染性病原体研究室へ異動し、現在は血漿分画製剤のウイルス安全性に関する研究に取り組んでいます。

ーー仕事の喜びやりがいを感じるのはどのような時ですか。

日本血液製剤機構:研究が思うように前へ進まないことも多く、設定したゴールにたどり着くのは容易ではありません。そのような中で、自分の発案から始まった研究が次の段階につながっていくことは大きな喜び。地道な研究の積み重ねが、会社や社会のより良い未来を築くための一歩になっていると、やりがいを実感しています。

未知の研究に挑戦する日々が新鮮

ーー日本血液製剤機構に入社したきっかけは何ですか。

日本血液製剤機構:学生時代に取り組んでいた研究が、かなり基礎的な研究分野で就職活動には不利だったため、自分の研究分野外まで視野を広げて企業を見て回っていた中で、日本血液製剤機構のことを知りました。血漿タンパク質という自分にとって未知の領域を研究していたことや、薬剤の安全性の確保に向け、たゆまぬ努力を続けている点に惹かれ、志望しました。また、中高時代によく友達と遊びに行った、馴染み深い神戸が勤務地だったことも決め手の一つでした。

ーー学生時代はどのような研究に取り組んでいたのですか。

日本血液製剤機構:幼少期からアレルギー体質で、薬により症状が改善した経験などから薬剤の研究に興味を持ち、京都大学薬学部へ進学しました。研究室配属後に、ショウジョウバエを使った細胞競合というがん発生・抑制のメカニズムについて研究を始め、同大学院薬学研究科へ進んでからも熱心に打ち込みました。

ーー入社して感じた御社の魅力は何ですか。

日本血液製剤機構:研究でつまずいた時に上司や先輩に相談しやすく、一緒に解決方法を模索してくれる環境があることです。ここ数年は中途採用で入社した同世代の社員が増え、同期のような感覚で付き合える仲間もできました。豊富な経験を積んだ人たちから、有益な情報やアドバイスがもらえることは大変ありがたく、成長につながっています。

他企業で働く研究者との交流を活力に

ーー神戸医療産業都市内の進出企業や団体などと仕事の連携等はありますか。

日本血液製剤機構:神戸医療産業都市推進機構から紹介を受け、神戸大学などと共同研究を実施したことがあり、私もメンバーの一員として参加しました。日頃行っている研究とは内容が異なり、難しさを感じましたが、貴重な経験になりました。

ーー学生時代は神戸医療産業都市について知っていましたか。

日本血液製剤機構:ポートアイランドのことは昔から知っていたのですが、その中に神戸医療産業都市が存在することは、当機構で働くまで知りませんでした。ただ、学生時代に大学主催で行われた理化学研究所や他製薬会社の見学会などに参加したことがあったので、ポートアイランドは研究支援に注力している地域という印象は持っていました。

ーー研究者として神戸医療産業都市で働くメリットは何ですか。

日本血液製剤機構:島内で開催されているセミナーや勉強会に参加できることではないでしょうか。私も以前、創薬フォーラムに参加したのですが、学びの場だけでなく、他企業の研究者と気軽に情報交換ができる場でもあると感じました。神戸医療産業都市には、自分が積極的に動けば、新しい研究につながるアイデアや情報、人脈が得られる機会があると思います。

ーー今後の目標や夢について聞かせてください。

日本血液製剤機構:何かしらの専門領域に特化したプロフェッショナルになりたいと思っています。その目標に向かって、今は自分の得意分野を探っている最中です。学生時代とは畑違いの研究に取り組む中で、多様な経験や知識が身に付いていると手応えを感じているので、そこから自分の専門性を見いだし、磨きをかけていきたいです。